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年を取って体が硬くなった。薬やサプリで柔らかくなる?

年を取って体が硬くなった!薬やサプリで柔らかくなる?ストレッチ以外の方法も調査

昔は平気だった前屈が、いつの間にか苦しくなった。靴下を履くときも、腰を曲げるのが少し面倒。年を取ると身体が硬くなるというが、これを何とかできないものだろうか。

できれば毎日ストレッチなどせず、薬やサプリメントで柔らかくしたい。そんな都合のいい方法はないのか。

結論からいうと、加齢や運動不足による身体の硬さを、飲むだけで改善できると確かめられた薬やサプリメントは、現時点では確認できない。

ただし、ストレッチだけが解決策というわけでもない。近年の研究では、筋力トレーニングでも柔軟性が改善する結果が報告されている。

薬やサプリはなぜ期待できないのか。ストレッチ以外に方法はあるのか。研究結果を調べてみた。

年を取ると身体が硬くなるのはなぜ?

身体の柔らかさには、筋肉や腱の性質、関節の動く範囲、神経の働きなどが関係している。加齢による身体の変化に加え、運動する機会が減ることも無視できない。

例えば、長時間座って過ごし、歩く距離も短く、床に座ることもほとんどない生活。これでは股関節や膝を大きく動かす機会が少なくなる。

もっとも、身体が硬くなる原因を、すべて年齢のせいにはできない。運動習慣や以前からの柔軟性、関節の病気などによっても違いが出る。

前屈で床に手が届くかどうかも同じだ。太ももの裏側や股関節の動きだけでなく、腕や脚の長さなども関係する。床に手が届かないこと自体が、病気や不健康を意味するわけではない。

立った姿勢と前屈した姿勢を比べ、股関節と太ももの裏側を強調した解説イラスト
前屈には股関節の動きや太ももの裏側の筋肉などが関係する。身体の構造を簡略化した説明用イラストで、硬さの原因を特定するものではない。

身体を柔らかくする薬やサプリメントはないのか?

関節に良さそうな成分といえば、コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチンなどが思い浮かぶ。

ところが、ここには一つ注意点がある。関節の痛みを和らげることと、身体の柔軟性を高めることは別の話だ。

厚生労働省のeJIMによれば、グルコサミンやコンドロイチンは、変形性膝関節症の痛みや関節機能への効果についても、研究結果が一致していない。

仮に関節の痛みが軽くなったとしても、それだけで前屈が上手になるとはいえない。

薬・成分 柔軟性への評価
コラーゲン 全身の柔軟性を高める十分な根拠は確認できない
グルコサミン・コンドロイチン 関節症状への効果も評価が分かれる。柔軟性改善とは別問題
マグネシウム 不足を補うことと、柔軟性を高めることは別問題
筋弛緩薬(医薬品) 特定の病気による筋緊張などを改善する薬。一般的な柔軟性向上を目的とした薬ではない

では、筋肉の緊張を緩める「筋弛緩薬」ならどうだろう。

例えばエペリゾンという医薬品は、腰痛症などに伴う筋緊張状態や、特定の病気による痙性麻痺の改善に使われる。

しかし、健康な人の前屈能力を高めるための薬ではない。眠気やふらつきなどの副作用もあり、身体が硬いからと自己判断で使うものではない。

サプリメントにも注意は必要だ。例えばグルコサミンやコンドロイチンは、ワルファリンという血液を固まりにくくする薬との併用で、出血リスクが高まる可能性が指摘されている。

少なくとも、柔軟性を高めることだけを目的に、薬やサプリを新たに購入する積極的な理由は乏しい。

ストレッチは本当に効果がある?

飲んで解決できないなら、やはり柔軟体操なのか。

2025年に医学誌『Sports Medicine』に掲載された研究では、189件の研究、合計6,654人のデータを分析。筋肉をゆっくり伸ばす静的ストレッチによって、柔軟性が改善することが確認された。

興味深いのは、もともと身体が硬い人の方が、改善幅が大きい傾向も報告されていることだ。

さらに、この分析では、継続的なストレッチについて、週の合計時間が約10分を超えても追加の改善は認められなかった。

つまり、長く伸ばし続ければ、それだけ効果が増えるとは限らない。ただし、これは誰でも週10分やれば十分という意味ではない。伸ばす部位や運動条件にも注意が必要だ。

また、研究参加者の平均年齢は26.8歳。40代から60代の人に、同じ程度の改善が起きると保証するものではない。

それでも、ストレッチには、柔軟性を改善する方法として多くの研究の裏付けがある。

実は筋トレでも身体が柔らかくなる?

では、ストレッチが苦手な人は諦めるしかないのか。ここで気になるのが、筋力トレーニングの研究だ。

2025年に発表された36研究・1,469人の分析では、筋トレによって関節の動く範囲が広がる結果が報告されている。ただし、研究には偏りや結果のばらつきがあり、効果を断定できる段階ではない。

さらに2026年7月、同志社大学などの研究グループが、ストレッチと特殊な筋トレを比較した成果を発表した。

健康な若年男性11人が、10週間にわたって週3回の運動を実施。片脚には静的ストレッチ、もう片脚には筋肉を大きく伸ばしながら力を発揮させる筋トレを行った。

すると、どちらの方法でも関節の動く範囲が同程度に広がり、太もも裏の一部の筋肉の硬さも低下した。筋トレをした脚では、筋力や筋肉の大きさも増加した。

柔軟性を高める方法は、ストレッチだけとは限らないわけだ。

ただし、この研究の参加者は若年男性11人。一般的なスクワットをすれば同じ結果になる、という話ではない。中高年でどの程度の効果が得られるかも、まだ十分には分かっていない。

筋肉の両端を引き離す方向と、筋肉が発揮する張力の方向を矢印で示した模式図
筋肉が力を発揮しながら引き伸ばされる状態の模式図。青い矢印は外から引き伸ばす方向、茶色の矢印は筋肉が発揮する力の方向を示す。研究装置や実測結果の再現ではない。

50代から始めるなら、何をすればいい?

では、前屈しても床に手が届かない人は、何から始めればいいのか。

運動習慣が少ない人なら、まずは椅子に座って太ももの裏を伸ばす方法が取り組みやすい。

  1. 安定した椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばして、かかとを床につける。
  2. 背中を自然に伸ばし、股関節からゆっくり上半身を前に傾ける。
  3. 太ももの裏が心地よく伸びる位置で20〜30秒保つ。
  4. 反対側も同じように行う。

椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばして股関節から上半身を傾ける太もも裏のストレッチ
椅子を使った太もも裏のストレッチ。反動をつけず、痛みのない範囲で20〜30秒。AI生成の説明用イメージ。

最初は左右1回ずつでもよい。慣れてきたら無理のない範囲で回数を増やす。軽く歩くなどして、身体を温めてから取り組むとよい。

厚生労働省も、ストレッチの基本として、20秒以上かけること、痛くない範囲で行うこと、呼吸を止めないことなどを挙げている。

普段から歩く機会を増やし、股関節などを大きく動かすことも、運動不足を減らす第一歩になる。ただし、歩くだけで前屈が改善すると確認されたわけではない。

変化を確かめたいなら、前屈したときの指先と床までの距離を週1回測ってみよう。膝の曲げ具合や測る時間帯などをそろえると、自分の変化を追いやすい。

なお、前屈で腰や脚に痛みが出る場合、しびれがある場合、関節の腫れや強いこわばりが続く場合は、無理に伸ばさず医療機関で相談してほしい。

結局、身体を柔らかくする近道は?

飲むだけで身体が柔らかくなる。そんな便利な方法は、今のところ科学的に裏付けられていない。

一方、ストレッチには柔軟性を改善する研究の裏付けがあり、筋力トレーニングにも有望な結果が出てきた。

大切なのは、無理に床へ手を届かせることではなく、痛みなく身体を動かせる範囲を保ち、少しずつ広げることだ。

薬やサプリを探す前に、まずは椅子に座って20秒。遠回りに見えても、それが今のところ、ずっと確かな方法なのである。

※本記事は公開資料や研究結果をもとに一般的な健康情報を整理したもので、個別の病気の診断や治療を目的とするものではありません。持病や関節の痛みがある場合は、運動を始める前に医師などへ相談してください。


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