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ヒアリは普通のアリと何が違う?見分け方と発見時の対処法

ヒアリは普通のアリと何が違う?見分け方と発見時の対処法

庭先や公園で、見慣れない赤茶色のアリを見つけた。普通のアリより少し赤い気がする。もしかして、ニュースで聞いたヒアリだろうか。

結論からいえば、ヒアリには体の色や大きさに特徴があるが、見た目だけで確実に判別することはできない。疑わしいアリを見つけたら、素手で触らず、数や発見状況に応じて対処することが大切だ。

では、普通のアリとは何が違い、見つけたらどうすればよいのか。環境省の資料と2026年の国内確認状況をもとに調べてみた。

赤褐色の頭部と胸部、黒っぽい腹部を持つアリのAI生成イメージ
赤褐色のアリを拡大したAI生成イメージ。実際のヒアリを撮影した写真ではなく、この画像による種類の判別はできない。

ヒアリは普通のアリと何が違う?

ヒアリは南米原産の外来アリで、日本では「要緊急対処特定外来生物」に指定されている。毒針を持ち、刺されると強い痛みを生じることがある。

環境省の「ヒアリ同定マニュアル Ver.3.1」によると、働きアリには次の特徴がある。

確認項目 ヒアリの特徴
体長 約2.5〜6mm
頭・胸の色 暗赤褐色
腹部の色 黒褐色
体の表面 全体的に光沢がある
集団の特徴 小さいものから大きいものまで、さまざまな体格の働きアリがいる

ただし、赤茶色のアリはヒアリだけではない。よく似た外来種のアカカミアリもいれば、国内のアリがヒアリと間違われることもある。

環境省が誤認例として紹介しているのは、秋に姿を見せるキイロシリアゲアリの女王や、アリそっくりの姿をしたアリグモだ。アリグモはクモの仲間なので脚は8本だが、前脚を触角のように動かすため、遠目にはアリに見える。

色や大きさは判断の手がかりになるが、ヒアリかどうかを確定するには専門家による確認が必要だ。無理に捕まえたり、手に乗せたりするのは避けたい。

ヒアリの働きアリの体長2.5〜6mm、赤褐色の頭部と胸部、黒褐色の腹部、腹柄2節を示した模式図
ヒアリの働きアリの主な特徴。体の形は簡略化した模式図であり、実物の同定には使用できない。環境省「ヒアリ同定マニュアル Ver.3.1」を参考に作成。

ヒアリらしいアリを見つけたらどうする?

ここで覚えておきたいのが、発見したアリの数によって対応が違うことだ。

少数のアリなら安全を確保したうえで殺虫剤による対処ができるが、集団や巣を見つけた場合は刺激せず、専門窓口に連絡する。これが環境省の基本的な案内だ。

発見した状況 基本的な対応
1匹〜少数 安全にできる場合はスプレー式殺虫剤などで殺虫。疑わしい場合は相談する
多数のアリ・集団 刺激せず、その場から離れて連絡する
巣らしい場所 踏む、掘る、殺虫剤や熱湯をかける行為を避ける
死んでいるアリ 素手で触れず、安全にできる場合は写真を撮って相談する

ヒアリの疑いがあるアリを少数発見した場合と集団や巣を発見した場合の対処法を比較した図解
少数の場合と集団・巣の場合では対応が異なる。少数でも危険を感じるときは無理に殺虫せず、窓口に相談する。環境省の案内をもとに作成。

例えば、庭で赤茶色のアリを1匹見つけた場合と、植木鉢の下から何十匹も出てきた場合では、取るべき行動が違う。集団に殺虫剤を吹きかけると、アリを刺激して刺される危険がある。

また、ヒアリと確認される前に、むやみに毒餌タイプの殺虫剤を置くことも避けたい。在来のアリまで減らし、かえってヒアリが定着しやすい環境をつくるおそれがあるためだ。

疑わしいアリを見つけたら、安全に撮影できる場合は写真を残し、場所・日時・おおよその数を記録しておく。写真のためにアリや巣へ近づいたり、捕まえたりする必要はない。

相談先は、環境省のヒアリ相談ダイヤル、または市区町村・都道府県の環境担当窓口だ。

環境省ヒアリ相談ダイヤル:0570-046-110
IP電話の場合:06-7634-7300

通話料は発信者負担。受付時間などは、環境省の公式案内で最新情報を確認してほしい。

ヒアリに刺されたら命に関わる?

ヒアリに刺されると、焼けるような痛みやかゆみが現れ、翌日には刺された場所に膿がたまったような状態になることがある。

ただし、刺された人が必ず重症になるわけではない。特に注意が必要なのは、毒に対する強いアレルギー反応だ。

環境省は、刺された場合には患部を冷たいタオルなどで冷やし、20〜30分程度は安静にして体調の変化を見るよう案内している。その間は、なるべく一人にならない方がよい。

じんましんや体調不良などの異常が現れたら、すぐに医療機関を受診する。

息苦しさ、声がれ、激しいめまい、意識の異常などが現れた場合は、アナフィラキシーの可能性がある。20〜30分待たず、直ちに119番で救急車を呼んでほしい。

医療機関には、アリに刺されたことと、アナフィラキシーの可能性があることを伝える。刺したアリがヒアリかどうか分からなくても、まずは症状への対応が優先だ。

ヒアリは日本に定着した?2026年の現状

日本でヒアリが初めて確認されたのは2017年6月。それ以来、港湾やコンテナ、輸入貨物などで発見が続いている。

環境省が2026年4月に公表した2025年度の集計では、ヒアリの確認は年間36事例で過去最多となった。それまでの最多は2017年度の26事例なので、10事例、約38.5%多かった計算になる。

さらに2026年度は、環境省の確認事例一覧によると、10月23日公表分までに45事例が記録されている。年度途中の段階で前年度の年間36事例を上回ったことになるが、これは確定した年間集計ではない。

では、すでに日本に住み着いているのだろうか。

環境省は2026年4月21日の発表で、国内におけるヒアリの定着は確認されていないと説明している。その後も港湾などで発見が続いているが、ヒアリが発見されたことと、国内で定着したことは同じではない。

また、確認事例数はヒアリの個体数でも、日本全体の生息数でもない。調査で確認された事例の数であり、数字の増加だけで全国に広がったとは判断できない。

国内の最新確認状況は、環境省のヒアリ全国確認情報で確認できる。

大きなアリ塚がなくてもヒアリはいる?

海外のヒアリの写真を見ると、土が山のように盛り上がった大きな巣が登場する。しかし、日本で見つかるヒアリも同じような巣をつくっているとは限らない。

環境省の同定マニュアルによると、大きなアリ塚になるまでには2〜3年程度かかる。初期の巣は小さく、在来のアリの巣と見分けにくいこともある。

ヒアリの目立たない初期の巣と発達したアリ塚を比較した地下断面の模式図
大きなアリ塚がなくても、巣が存在する場合がある。地下の部屋や通路の配置・深さは、実測したものではなく説明用の模式図。

つまり、「土の山がないからヒアリではない」と判断するのは早計だ。反対に、大きなアリ塚があるからといって、必ずヒアリとも限らない。

もちろん、庭や公園で普通のアリを見かけるたびに怖がる必要はない。国内では、これまで港湾や物流施設などでの確認が中心だ。

ただし、見慣れないアリの集団や巣を見つけたら、無理に調べたり駆除したりせず、専門窓口に相談する。怖がって手当たり次第に殺虫剤をまくより、その方が安全で確実な対処につながる。

【編集者が思うこと】

ヒアリと聞くと、海外から来た危険なアリという印象が強い。ところが調べてみると、意外にも見た目だけでは判別できず、見つけた数によって対処法まで違う。

特に気になったのは、集団を見つけても、慌てて殺虫剤をかけてはいけないという点だ。危険な虫ならすぐ駆除したくなるが、それが逆効果になることもあるらしい。

知らないアリを見つけたら、まずは触らない。たったそれだけでも、知っているのと知らないのとでは違いがありそうだ。


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