横断歩道の押しボタンを押したのに、なかなか青にならない。急いでいると、ついもう一度、二度と押したくなる。
何度も押せば、少しは早く変わるのだろうか。信号待ちの間に、そんなことを考えた経験はないだろうか。
実は、押しボタン信号は何度連打しても早く青にはならない。基本的には1回押せば十分だ。
では、押してすぐ青になる場所と、ずいぶん待たされる場所があるのはなぜなのか。警察や交通管理機関の資料から、その理由を調べてみた。
押しボタンを連打しても早くならない理由
2023年3月、テレビ山口が山口県警の交通管制官に、押しボタン信号を連打すると早く変わるのか尋ねている。
回答は明快だった。何回押しても待ち時間は変わらず、繰り返し押すことは故障の原因にもなるという。
そもそも、押しボタンは信号機に「横断したい」と知らせるための装置だ。ボタンを押すと、その要求が信号制御機に伝わり、設定された条件に従って信号が切り替わる。
一度受け付けられた要求は、何度押しても優先順位が上がるわけではない。
連打した直後に青になったことがあっても、それはもともと切り替わるタイミングだった可能性が高い。
信号機にとって、押しボタンは早送りスイッチではないのだ。
青になるまでの時間は、なぜ場所によって違う?
大阪府警察によると、押しボタン式信号機は通常、ボタンを押してから6〜10秒程度で歩行者用信号が青になるという。
ただし、これは大阪府警察が示す一般的な目安であって、全国すべての信号機に当てはまる数字ではない。
交通量の多い幹線道路などでは、ボタンを押してもすぐに変わらないことがある。
その理由の一つが、周辺の信号機との連動だ。
幹線道路では、車ができるだけスムーズに走れるよう、前後の信号機がタイミングを合わせている場合がある。これを「系統制御」という。
歩行者が押すたびに車の信号をすぐ赤にしてしまうと、その流れが乱れ、渋滞につながるおそれがある。
そのため、横断の要求は受け付けても、周囲の信号とのタイミングが合うまで待たせることがある。

日本交通管理技術協会や警視庁も、こうした交通の流れを考慮した信号制御について説明している。
つまり、10秒を過ぎても青にならないからといって、すぐに故障とは判断できない。 その場所に応じた制御が行われている可能性がある。
「おまちください」が出たら、もう押さなくていい
押したつもりでも、ちゃんと反応しているか心配になることがある。
そんなときは、ボタンを連打する前に表示窓を確認してみよう。
大阪府警察が紹介している一般的な黄色い押しボタン箱では、操作前後で次のように表示が変わる。
- 「おしてください」:まだ横断の要求が受け付けられていない状態
- 「おまちください」:横断の要求が受け付けられ、信号が変わるのを待っている状態

「おまちください」と表示されていれば、もう一度押す必要はない。ほかの歩行者が先に押していた場合も同じだ。
もちろん、すべての押しボタン箱が同じ表示とは限らない。現地の表示や案内を確認してほしい。
また、車が途切れたからといって、赤信号のまま横断してはいけない。
歩行者用信号が赤なら、必ず青になるまで待つ。青になっても、左右の車が止まったことを確かめてから渡ろう。
白い押しボタンは、黄色と何が違う?
横断歩道では、黄色い箱のほかに、白い押しボタン箱を見かけることもある。
大阪府警察が紹介する白い押しボタンの一つは、高齢者や身体の不自由な人が安全に渡れるよう、歩行者の青信号を長くするためのものだ。
一方、警視庁が紹介する音響用押しボタンには、青になったことを音で知らせるものもある。なかには、音響案内と青時間の延長を両方行う設備もある。
つまり、白いボタンだからといって、必ず青信号を長くする装置とは限らない。
機種によっては、押し込むボタンではなく、手で触れるだけで作動するタッチ式もある。使うときは、色だけで判断せず、表示されている用途を確かめたい。

押しても青にならないときは、どうする?
まずは、ボタンを押したあとに「おまちください」などの受付表示が出ているか確認する。
表示が出ているなら、信号の切り替えを待っている状態と考えられる。何度も押し直す必要はない。
一方、正しく操作しても反応しない、いつもと明らかに動作が違う、信号機そのものが消えているといった場合は、不具合の可能性もある。
大阪府警察は、信号機の不具合に気づいた場合、管轄の警察署に連絡するよう案内している。また、信号が切り替わらない、点灯していないなど緊急性の高い異常については、静岡県警察が110番または最寄りの警察署への連絡を案内している。
故障を確かめようと何度も押したり、赤信号のまま渡ったりするのは避けよう。
押しボタン信号の使い方は、案外シンプルだ。
1回押して、受付表示を確認し、青になるまで待つ。
急いでいるときには長く感じる信号待ちも、ただ意味なく待たされているわけではない。車の流れと歩行者の横断を両立させるために、場所ごとの調整が行われているのだ。

