「エアコンは、こまめに消すよりつけっぱなしの方が安い」と聞いたことはないでしょうか。では、買い物に30分出かけるときは? 1時間なら?
実は、短い外出ではつけっぱなしが得になる場合がありますが、長時間使わないなら停止した方が安くなる場合があります。 冷房か暖房か、昼か夜かによっても違います。
メーカーの実験結果をもとに、外出時間による違いと電気代を調べてみました。
「30分ならつけっぱなし」は本当なのか?
この話の根拠の一つが、ダイキン工業が2016年8月5日に行った冷房の実験です。
最高気温36.3℃の猛暑日、大阪のマンションで冷房を26℃・風量自動に設定。「つけっぱなし」と「30分間隔でON/OFF」を比較しました。
さらに測定データから、つけっぱなしの方が電気代を抑えられる外出時間を推定しています。
| 時間帯 | つけっぱなしが得になる外出時間の目安 |
|---|---|
| 日中(9~18時) | 35分まで |
| 夜(18~23時) | 18分まで |
出典:ダイキン工業「夏のエアコンつけっぱなし検証」。特定の住宅と気象条件に基づく推定値であり、すべての家庭に共通する基準ではありません。
なぜ昼と夜で違うのでしょうか。
エアコンは、暑くなった部屋を設定温度まで冷やすときに多くの電力を使います。いったん部屋が冷えると、少ない電力で温度を維持できる場合があります。
猛暑の日中は、電源を切ると室温が上がりやすく、帰宅後に冷やし直す負担も大きくなります。一方、外気温が下がる夜間は、停止中に節約できる電力量の方が大きくなる場合があります。
つまり「30分以内なら必ず得」というわけではありません。 気温や日差し、部屋の断熱性能、エアコンの機種によって結果は変わります。

15分・30分・1時間・8時間の外出では?
では、普段の生活ではどう使い分ければよいのでしょうか。メーカーの実験から考えられる目安を整理しました。
| 外出時間 | 判断の目安 |
|---|---|
| 15分 | 短時間なら連続運転が有利になる場合がある |
| 30分 | 猛暑の日中や寒い日の暖房では、連続運転が有利になる場合がある |
| 1時間 | 停止も選択肢。外気温や室温の変化によって判断が変わる |
| 2時間 | 停止した方が安くなる可能性が高まる |
| 8時間 | 無人なら停止を基本に検討。室内に人やペットがいる場合は別 |
メーカーの実験を参考にした判断の目安です。各時間を同じ住宅で個別に実測した比較ではなく、特定の時間で必ず損得が逆転するものではありません。
冬の暖房も、むやみに消せばよいわけではありません。
ダイキンの冬季実験では、30分間隔でON/OFFを繰り返すよりも、つけっぱなしの方が消費電力量は少なくなりました。
ところが、長時間の外出や就寝時に停止する生活スケジュールでは、24時間連続運転より電力量を抑えられています。
「短時間に何度も切る」のと「長時間使わないので切る」のは、まったく別の話なのです。
実測データを31円/kWhで計算するといくら違う?
では、実際のお金に換算するとどうなるのでしょうか。
ダイキンが公表した消費電力量を、家電公取協の目安単価である1kWh=31円(税込)で計算し直しました。
| 運転方法 | 夏・冷房 14時間 |
冬・暖房 24時間 |
|---|---|---|
| 連続運転 | 176.7円 | 393.7円 |
| 外出時などにOFF | 136.4円 | 359.6円 |
| 差額 | 40.3円 | 34.1円 |
独自再計算。夏は2016年8月6日の実験(5.7kWh対4.4kWh)、冬は別の冬季実験(12.7kWh対11.6kWh)を使用。差額は連続運転の方が高かった金額です。夏と冬では運転時間や条件が異なるため、金額を直接比較することはできません。
夏の実験では、買い物に1時間、子どもの送迎と散歩に各30分、外食に2時間という、合計4時間の外出を想定しています。
この条件での差は14時間で40.3円。仮に同じ条件が30日続いたとすると、40.3円×30日=1,209円の差になります。
電力単価を仮に40円/kWhとすれば、同じ消費電力量での差額は52円です。
ただし、これは過去の実測値を別の料金単価で再計算したもの。実際の電気代や、毎月これだけ節約できることを保証する数字ではありません。

寝るときは消した方が安い?
電気代だけなら、寝ている間にエアコンを切った方が安くなる場合があります。ただし、暑い夜には気をつけたい点があります。
パナソニック「エオリア」調べによる2026年の実験では、6畳の試験室で夏の夜を再現し、冷房を8時間つけっぱなしにした場合と、3時間で切った場合を比較しました。
- 8時間つけっぱなし:26.7円
- 3時間切タイマー:11.5円
- 電気代の差:15.2円
切タイマーの方が安かったものの、8時間後の室温は31.2℃まで上昇。一方、連続運転では26~27℃を維持していました。
この実験は人が実際に眠ったものではなく、人体に相当する熱源を置いて測定したものです。結果は試験室の条件によりますが、節電と室温管理の違いがよくわかります。
電気代を節約できても、室温が上がりすぎては本末転倒です。
環境省も、熱中症予防のため、夜間や就寝中を含めたエアコンの適切な利用を呼びかけています。暑さを我慢してまで電気代を削るのは避けましょう。

自宅では、どちらが得なのか調べる方法
ダイキンの実験で35分が目安になったとしても、自分の家でも同じ結果になるとは限りません。
確かめたいなら、電力会社の会員ページなどで時間帯別の使用電力量を見てみましょう。エアコン自体に消費電力量の表示機能があれば、それも参考になります。
- 外出した時刻、外気温、室温、エアコンの設定温度を記録する。
- つけっぱなしの日と、外出時に停止した日を比べる。
- できるだけ気温や使用時間が近い日を選ぶ。
- 電力量だけでなく、帰宅後の暑さや寒さも確認する。
ただし、家庭全体の電力データには冷蔵庫や照明などの使用分も含まれます。正確なエアコン単独の測定ではなく、おおまかな傾向を見るための方法です。
また、エアコンを切るかどうか以外にも、窓からの日差しを遮る、フィルターを清掃する、無理のない設定温度で使うといった基本的な節電方法があります。

【編集者が思うこと】
スーパーへ30分出かけるだけなのに、エアコンを切った方が得なのか、それともつけたままがいいのか。毎回考えるのも面倒な話です。
ところが、メーカーの実験を比べると、夏の昼と夜で損得の境目が違い、冬はまた別の結果になる。結局、「30分ルール」だけで片づけられないことがわかります。
電気代を節約したいからといって、リモコンを押す回数まで増やす必要はなさそうです。反対に、長時間留守にするのに、何となくつけっぱなしにするのも考えもの。
大切なのは、自分の家では何時間くらい部屋を空けるのか、そのとき室温はどれくらい変わるのかを知ることではないでしょうか。
数字を追いかけすぎて暑さや寒さを我慢するより、家計と快適さの折り合いをつける。そんな使い方が、長続きする節約だと思います。
参考資料(2026年11月1日確認)
- ダイキン工業「夏のエアコンつけっぱなし検証」
夏の冷房実験・公式資料 - ダイキン工業「冬のエアコンつけっぱなし検証」
冬の暖房実験・公式資料 - パナソニック「エアコンは『切タイマー』『つけっぱなし』どちらが正解?」(2026年7月1日)
夜間8時間の比較実験・公式資料 - 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」
電力料金目安単価31円/kWhについて - 環境省「あなたの熱中症対策 本当に大丈夫ですか?」
室内・夜間の熱中症予防について
本文中の料金比較は、公表された実測電力量をもとに編集者が再計算したものです。独自にエアコンの消費電力量を実測した結果ではありません。


